タンチョウ給餌25年 新聞記事

タンチョウ給餌25年

音別・高橋さん 病と闘い、功労者表彰

毎冬、タンチョウが飛来する畑地を背に、「受賞を励みに体力を 取り戻したい」と話す高橋洋一さん

道が委嘱する国の特別天然記念物タンチョウの給餌人、釧路市音別町の高橋洋一さん(78)が、日本鳥類保護連盟(東京)の野生生物保護功労者表彰で、環境省自然環境局長賞を受賞した。
高橋さんは、1997年に給餌人となり今年で25年。
昨年は病気のため給餌を妻に委ねたが、受賞を励みに「タンチョウが舞う雪原に必ず戻る」と病の克服を心に誓う。
同表彰は野生生物保護に貢献した人を総裁賞を含む7賞で表彰。
今年は全国で22人が選ばれ、道内は3人が受賞。
釧路、根室管内からは高橋さんのみ選ばれた。

高橋さんは、道が釧路管内で委嘱するタンチョウ給餌人13人のうちの1人で、元酪農家。
毎年11月から3月に、自宅前の約3千平方メートルの畑地で1日1~2回、餌をまいてきた。
飛来するタンチョウは当初数羽だったが、近年は100羽を超し、羽が折れたタンチョウや、1本脚のタンチョウが飛来することもある。
「タンチョウに交通事故や電線との接触など、新たな問題が起きている。何かできないか」と考え始めていた昨年4月、脳梗塞を発症。
12月には胃がんも発覚し、胃を半分切除した。
昨冬は初めて給餌を妻のサヨ子さん(76)に委ねたが、5月に受賞の知らせが届いた。
高橋さんは「冬までに体力を取り戻し、またタンチョウのために餌をまけるよう頑張りたい」と言葉に力を込めた。
(佐竹直子)